建築家・中飯賀業さんが考える「家族と住まい」

私は建築（住宅を含む全ての建築）を創る時はいつも恒久的な建物を目指します。
それは物創りをする我々の本能であり、それは動物が種を残す本能に似ていると感じます。
設計した建物が長く存続するには幾つかの条件や幸運も必要です。
　建物自体の耐久力、何百年後も改修出来る構造や仕上げの選択、時代を超えて使えるプラン普遍的な価値のあるデザイン等の数え切れない建物の性能や価値を持ち且つそれらを理解できるお施主様（代々に継承できる）に出会うことが出来た時に、建物（住まい）は永く時代に生きると考えます。建てるお施主様の様々な要望にお応えするのは我々の仕事です。しかし上に書いたような私の希望もお施主様は気づいてないかも知れませんがお施主様一族にとっては大変幸運な事につながる可能性が有ります。
　恒久的な住宅とは昔から有る、一族の何世代かが一緒に暮らす大きな住宅、例えば親が使った子供部屋を子供がまた使い自分が年老いたら老人室に入るという家族内ですむ場所のサイクルを可能にしたプランです。理想的ですが最近は少なくなりました。戦後、日本的な文化を戦争で失い、あまり先のことや昔のことを考えなくなり核家族化が進み小さい住宅が多く創られています。４０坪程度の住宅を最近多く創っていますが、お施主様が亡くなったらどうなるのだろうか？またお施主様の子供が住んでくれるのだろうか？など要らぬ思いをします。子供や孫が気に入らなくて住めない場合はどうなるのか心配です。他の人が住んでくれたりして解体されることの無いように望んでいます。
　家族は時代に変化し世代が変わります。建てる時だけに合わして創るよりは先祖にお礼を込めて子孫に宝物を残しましょう。住まいはじっとして家族の幸せを見守る場所です。

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