蒲生田岬公衆トイレ 木造平屋建て 3.00坪 2012.3 完成 | |
この公衆トイレは徳島県は阿南市を代表する景勝地に建っています。四国の最東端に位置して夏になればウミガメの上陸で有名です。昔は多くの民宿が立ち並びたくさんの観光客が訪れる有名な観光地でした。最近になって阿南市は観光復活に力を入れています。その一環でこの事業が立ち上がり、私が阿南市の入札で落札してこの仕事を手掛ける事となりました。私の業務は設計業務で工事監理業務は阿南市の技術者が行いました。完成して約10日が経つので、どのように使用されているか今日は天気も良くオープンカーで休憩を兼ねて見に行ってきました。平日でしたが何人ものカメラを持った人達(年配の方)や若いカップルが岬の写真を取りに来ていました。私は便所の写真を撮って来ましたので見て下さい。
この便所は同じ大きさの男女の便所からなっています。裏にリサイクルトイレの機械室が設置されています。建物は阿南市の要望で亀の甲羅型の屋根がデザインされています。仕上も廻りの自然公園の環境に合うように木材などの自然素材で仕上げました。
写真家の幸田氏撮影による写真を追加します。 2014.09.21 | |
完成してから約2年がたちました。
写真が美しいので写真のコメントはやめました。
今年は大きな台風が来てこの場所は風速60mを経験しました。
心配しましたがこの便所は吹き飛びませんでした。
この重い屋根は正解でした。
この場所でこの設計は我ながらベストであると考えます。
2014.09.21 設計者 中飯賀業
駐車場からの遠景
左側が岬の大池です。公衆トイレの向こう側に東屋が一体のように見えます。
この方向をメインにデザインしました。
イメージの通りに出来あがり満足をしています。この棟の無い本葺き瓦のデザインは私のオリジナルでこの建物で2棟目です。屋根が美しい。
壁は強風に吹き飛ばされないように杉板を3.5重に合計10.5cm張っています。
そのおかげでもの凄く重厚に見えます。
正面から
写真を撮る腕が悪いので歪んでいます。申し訳ございません。
実物はもっと美しく見えます。
後ろの大池や山によく似合っています。
真ん中に休憩用のベンチが取り付けられています。
公園の案内板との間に工事前からの植栽があり前から有ったように環境に溶け込んでいます。
銀色に見えるポンプは手洗用です。
建物裏側
裏側に飛び出ているのは循環トイレ(環境リサイクルトイレ)の機械室です。
妻
壁と屋根の間には換気用のガラリが取り付けられています。
軒
屋根は横から美しく見えるように軒で水平に切り取られるデザインです。
工事が一番難しかった所です。
女子便所
内部は3cmの杉板が横に張られていて丈夫です。
ステンレスのボードはセルフで掃除する掃除具掛けです。
男子便所
外壁の杉板は水が切れるように基礎から離しています。
男子便所内部
掃除具掛けと棚が取り付けられています。水洗いできるように基礎も高く設計されています。
便器
この建築場所は自然公園内で排水設備が無く便器は循環トイレ(環境リサイクルトイレ)が
採用されました。FRPの便器の下に循環トイレ本体が設置されています。
小さな浄化槽の上でトイレをするような感じです。
便器
写真では解りにくいのですが、便器の中を四六時中水が流れています。
大便をすると糞がサーフィンする様に流れて行くのでしょう。
壁と屋根の間は換気ガラリとなっています。
夏場に虫(蚊やハエ)来ないように防虫網が設置されています。
手洗
掃除や便所の後に手を洗う為のポンプです。
駐車場前の海
蒲生田の浜が広がっています。 波がある時は若者がサーフィンをしています。
特に台風が来ればこの浜の波はチューブになると世界的に有名です。
岬の灯台へ向かう遊歩道と最近出来た石のモニュメント。
有名な彫刻家の作品です。
向こうに見える島は伊島です。
もの凄く景色の良い所なので一度はカメラを持って散歩に来て下さい。
私の設計した便所でサーフィンするのを試して下されば幸いです。
ちなみにこの公衆トイレは
有限会社 榮成建設 森雅志 さんが工事をしました。
工事に携わった皆様ご苦労様でした。この場を借りて御礼を申し上げます。
最期にせっかく綺麗に作って頂いたのに紹介の写真の腕が悪すぎてすみません。
せめて歪んだ外観だけでも誰か代わりに撮って頂いたら写真を取り替えます。