徳島の建築家
中飯賀業は建築の専門家 建物の設計や企画をお任せ下さい。徳島県阿南市で建築設計事務所を開設しています。

なかい  しげのぶ
中飯賀業建築研究所
Shigenobu Nakai



木造の住宅から店舗工場など全ての建築を設計します。新築からリフォームまでお施主様の要望にお応えします。
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〒779-1750 徳島県阿南市椿町瀬井29-6
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  作品№11 新野の住宅   撮影 幸田青磁

 この住宅は私の尊敬する方が子供夫婦のために建てた住宅です。私はお施主様(住む人)のことをあまり知らないまま設計しました。お施主様の情報として、東京から来る自転車競技をしていた頭の良い婿さんと私の妻と同じ年で建設会社の娘さんの夫婦でした。設計の打ち合わせは主に娘さんの母上様と行ったように記憶しています。この住宅は娘さんの両親からの情報やイメージから設計しました。家が出来るまでお婿さんとは会って話をした記憶がありません。現在、お婿さんは一級建築士であり建設会社の経営者として最近社長に就任しました。当初Nハウス工法を提案しましたが、打ち合わせの結果土塗り壁工法となりました。外壁は南側のリビング部分のみ杉板を張りその他はお施主様の御両親のご要望で引っ掛けタイル仕上げとなっています。

平面プラン

敷地が四角く全室南向きが難しく、家相的に玄関の位置や駐車場の位置、また東側が自己所有地で西側も空地が広いなどの諸条件を考慮して、三方に開放したプランで1,2階共階段ホールを中心に放射状に居室を並べました。当初リビングに薪ストーブを計画していたので空間的に全室リビングにつながっています。2階も吹抜けを介してリビングにつながっています。子供室が当初の予定で二部屋でしたが現在すでに子供が二人いるのでこのプラン増築に向かないので少し心配をしています。



 南面外観

屋根は寄せ棟屋根にリビング吹抜上部の片流れの大屋根がつながるようにしました。デッキ付の大屋根はこの高さが一番です。テラスの置いたベンチが家の雰囲気を上品にしています。

 木製デッキ

木製デッキは上に屋根があれば毎日の露が落ちないので木製デッキは長持ちします。またこのように屋根でデッキを覆う時は屋根の高さを高くする事が大事です。そして部屋の中から軒先が見えないのが理想です。
この家は北山杉の磨き丸太の垂木が並んでいます。

 勝手口、物入

アウトドアが趣味のお施主様のご要望で勝手口部分に通路と物置が計画されました。この部分は両方に扉があり外部のような内部になります。上部に採光窓がつけられています。

 玄関ホール

節が無い美しい木材で創られているので上品に仕上がっています。玄関も石を貼って美しく造られているのですが、この写真は雑誌掲載用に撮られたので高価な仕上は記事にならないらしく撮影されませんでした。残念です。

 LDK

左側から和室、玄関、ダイニングキッチンと並んでいます。柱と鴨居など造作材に節が無い柾目の材料を使用しているので上品に和風(大正ロマン風)に見えます。

 リビング吹抜

柾目で節の無い木材と北山杉磨き丸太で創られた空間は上品で美しく見えます。柱と付長押で格子状にデザインされたしっくい塗りの白壁が新築当初は華やかに徐々に柾目の杉は飴色に変わりコントラストが美しくなります。節の無い木材は収縮や変形が少なく上品な時代を創るでしょう。

 吹抜上部

北山杉丸太の垂木が並ぶ天井には天窓がつけられ、丸太の大黒柱と繋梁が節の無い柾目の柱や長押で四角に囲まれたしっくい壁につなげているデザインです。吹抜け両サイドに照明付きの飾り窓が付いています。右側の奥に二階の部屋内のバルコニーが付けられ手前に子供室の窓が見えています。

 2階バルコニーからリビング吹抜

シンプルで上品な仕上げに北山杉丸太はダイナミックにかつ上品に馴染んでいます。当初は花の飾ってあるコーナー部分に薪ストーブが予定されていました。

 2階バルコニーからリビング見下し

北山杉丸太の繋梁一本が大きな吹抜け空間に丸太の一本橋のように架けられている。この梁は構造上重要な梁です。

 和室

正面の丸い明り窓のついた引戸は自転車のフォィールをイメージしてデザインしました。その向こうがリビングです。右側の障子は摺り上げ雪見障子です。

 床の間

床の間の脇には明かり取りの窓が付けられていて、昼間は間接照明のようになり明るい床の間です。

 2階階段ホール

階段室は1階からつながった仕上になっています。手摺の親柱は円柱状にデザイン加工されています。手摺も格子手摺の上に2段に手摺が付いているデザインです。

 寝室

寝室は和室と洋室で構成されていて、南側の和室には木製バルコニーが付けられていてその手すは格子状にデザインされています。壁の仕上は和室と洋室共に珪藻土塗です。

 寝室

北側の洋室の寝室ににも窓には障子が付けられています。この風景は戦前の住宅に良く見られます。洋室の腰には杉板が張られていて床の板張りに良く合っています。上品な寝室に仕上がりました。

 子供室

子供室も大正ロマン風のように上品に仕上げられています。節の無い針葉樹の材料はどんな形にしても和風(日本風)に見えてきます。

 庭から外観
(南東側)

ダイナミックな大屋根が特徴です。夏場には大屋根の庇で昼間はリビングが日陰になるように設計されています。日本における庇の役目は冬季に室内に日差しを入れ夏季は日差しを避ける目的があると考えています。

  

この住宅はお施主様の経営する神原建設株式会社が施工しました。

設計を依頼された時は普通の予算で設計するように指示されていました。しかし出来あがる頃は当初の2倍の価格になったでしょう。それは写真で見たように最高の木材を使用したためです。確かに同じように設計した他の作品に比べ上品に美しく見えます。私の作品の中で坪単価が一番高価な作品です。良い木材は変形しないで美しく時代を重ねるので100年後もそのままでしょう。
ただ建築家としてもし当初から2倍の予算を頂き設計していたらたぶん違う形になっていたことでしょう。今から思えばそのあたりが少し残念です。



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